リハビリテーション科

リハビリテーション科では神経難病、がん、脳血管障害、整形外科疾患、循環器疾患、糖尿病を中心に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による亜急性期(入院)から維持期(在宅)の総合リハビリテーションを実施しています。

理 念

患者様の生活・環境に即したリハビリテーションを提供いたします。

リハビリテーションのご紹介

神経難病リハビリテーションについて

当院では筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、脊髄小脳変性症(SCD)をはじめ、さまざまな神経難病患者さんに対し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による積極的なリハビリテーションを実施しております。

診断初期から積極的に関わり、患者さん・ご家族との信頼関係を構築するとともに、定期的評価に基づいて機能維持や代償手段の確立を図ります。レスパイトケア中の集中的リハビリテーション、外来通院での継続リハビリテーション、家庭で実施する訪問リハビリテーションにより、全ての病期に対応いたします。

入院中は、患者さんやご家族様、看護師、MSW、ケアマネジャー等と共同して家屋状況を把握し、個人個人の生活環境に適合したリハビリテーションの提供に努めます。

患者さんの在宅生活を支えるスタッフの方々とも連携を深めることで、安心したリハビリテーションを途切れなく提供することが可能です。

心臓リハビリテーションについて

心臓リハビリテーションは、循環器疾患をお持ちの患者さんの円滑な社会復帰や疾患の再発および悪化防止を目的に行います。

心臓リハビリテーション

運動は、血圧や脈拍を管理しながら一人一人の状態に合わせて、適切な負荷量で実施いたします。また、多職種と連携し必要に応じて生活習慣の見直しに向けた指導も行います。
当院の循環器内科を受診される患者さんの他に、福岡大学病院を中心とした近隣急性期病院における治療後のリハビリテーションにも対応しています。

整形外科リハビリテーションについて

当整形外科(運動器)リハビリテーションは変形や痛み、シビレなどによりお困りの患者さんに対し、専門医の処方に基づき、理学療法士、作業療法士による個別運動療法や物理(電気)療法を実施しております。

膝や股関節などの手術予定患者さんに対しては、手術前から関わることで、早期離床、早期在宅復帰を図ります。
慢性関節リウマチなどで変形が著しい患者さんに対しては、必要に応じ装具やサポーターの提案も行います。
手指の変形を持つ方に対しても、握力などの評価を行えるよう手指評価機器を取り揃え、根拠に基づいたリハビリテーションを提供いたします。

整形外科リハビリテーション

予防的リハビリテーションについて

「治療の為ベッド上の生活をしていた」「最近痛みにより外出の機会が少ない」などの理由により活動性が低下すると、筋肉が痩せ、関節が硬くなり日常生活に支障をきたす場合があり、これを生活不活発病(廃用症候群)と呼びます。

予防的リハビリテーション

一度衰えた筋肉を再び元の状態に戻すには衰えた時間の数倍の時間が必要とされ、廃用症候群への予防には運動習慣獲得が重要です。

当院では、がん患者さんや人工透析を受けられる患者さんが治療等による安静を必要とされる場合に、廃用症候群とならない為の予防的なリハビリテーションを実施しています。また、やむを得ず廃用症候群となった患者さんに対する機能障害改善・ADL向上目的のリハビリテーションを実施しています。

糖尿病や高血圧症、高脂血症など生活習慣病に対しても運動習慣獲得による二次障害の予防が重要です。当院では神経障害などにより医師が必要と認めた場合、リハビリテーションと合わせて運動療法の提供を行なっています。

その他、当院では福岡市より業務委託された介護予防教室や、壱岐南公民館での介護予防教室も実施しています。市の介護予防教室は、最寄りの地域包括支援センターまでお問い合わせください。壱岐南公民館での介護予防教室については、壱岐南公民館にお問い合わせください。

摂食機能療法について

何らかの原因により、食べ物が飲み込みにくい、ムセるなどの症状が見られる患者さんに対して評価を行い、症状に合わせた訓練や環境設定を医師、言語聴覚士、看護師らが協力して行ないます。

患者さんに対しての訓練のみではなく、ご家族の方に対しても、安全な食事介助方法の指導も行なっております。
摂食、嚥下機能の検査では、より詳細な評価が可能な嚥下造影検査(VF検査)も行なっております。

嚥下造影検査と食事調整目的の入院について

飲み込みでお困りの方を対象に、嚥下造影検査(VF検査)と食事調整目的の入院を行っております。VF検査の結果を基に、適切な食事内容、食べ方、食べる(または介助)際の注意点、姿勢調整の方法などのリハビリテーションを実施します。また、その他、運動等のリハビリテーションの実施も可能です。退院時には、安全な食事摂取の継続に向けた指導を行います。

入院期間は、約10日間程度で設定しており、ご自宅で生活中の方に限らず、施設に入居されている方も対象としております。

物忘れ評価について

物忘れの自覚がある患者様、もしくはご家族様等で同居患者様の物忘れが気になる方を対象に、物忘れ評価を行っております。また、特に自覚はなくても、現在のご自身の考える力(認知機能)が気になる方も検査を受けることができます。検査は、約3~4種類の方法で、約30-40分程度で終了します。

LSVTについて

当院は、パーキンソン病に対するリハビリテーションとして世界的にスタンダードとなりつつあるLSVT LOUDとLSVT BIGを、LSVT Globalの認定を受けた2名の言語聴覚士と4名の理学療法士、1名の作業療法士により実施しております。当院のLSVTプログラムは、安全確保と適応判定を目的とした事前の検査の後に、4週間のプログラムを1~2週間の入院とその後の外来通院により行います。

学会・研究会発表・講演等

2022年度分
  • 多系統萎縮症における構音・嚥下障害の経時的変化と言語聴覚療法の効果
    木村 一喜
    2022年7月 東京 第16回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス
  • 診断早期の筋萎縮性側索硬化症患者に対する発声・発語器官のリハビリテーションの効果
    木村 一喜
    2022年9月 東京 日本神経摂食嚥下・栄養学会
  • 高齢糖尿病者の認知機能とDASC-21の有用性についての検討
    柴田 さおり
    2022年10月 福岡 日本糖尿病学会九州地方会
  • せん妄を呈したパーキンソン病患者1例に対する生活リハビリテーションとリアリティオリエンテーションの効果
    亀山 莞汰
    2022年11月 東京 第10回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • 重度パーキンソン病患者の嚥下障害に対する完全側臥位法が嚥下動作に与える影響
    齋藤 正直
    2022年11月 東京 第10回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • 誤嚥性肺炎発症後のパーキンソン病及び関連疾患患者に対する嚥下評価・訓練の有効性
    木村 一喜
    2022年11月 東京 第10回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • 周辺症状(BPSD)を呈したアルツハイマー型認知症に対する生活リハビリテーションの有効性
    森山 未来
    2023年3月 長崎 第10回 慢性期リハビリテーション学会
2021年度分
  • パーキンソン病関連疾患患者に対する経口摂取訓練と口腔ケアの有効性
    木村 一喜
    2021年7月 WEB 第15回 パーキンソン病・運動障害疾患コングレス
  • 大脳皮質基底核変性症患者の嚥下障害に対する言語聴覚療法の検討
    木村 一喜
    2021年11月 WEB 第9回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • スロートレーニングがパーキンソン病患者の突進歩行に及ぼす影響
    髙塚 翔太朗
    2021年11月 WEB 第9回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • 生活リハビリテーションの汎化に取り組んだパーキンソン病患者1名
    亀山 莞太
    2021年11月 WEB 第9回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • パーキンソン病患者に対する短期間の生活リハビリテーションの効果について
    有川 雄大
    2021年11月 WEB 第9回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • 運動遂行機能低下を呈したパーキンソン病患者に対するLSVT®BIGの実践 ~運動内容の言語化が自主運動獲得へつながった1症例~
    古川 晃大
    2021年11月 WEB 第9回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会
  • 在宅での終末期がん患者に対して安楽に過ごしていただく一助となれた症例
    諏訪 準
    2022年2月 福岡 第31回 福岡県理学療法士学会